一般高圧ガス保安規則

(昭和四十一年五月二十五日通商産業省令第五十三号)
最終改正:平成一九年三月二八日経済産業省令第二二号


 高圧ガス取締法(昭和二十六年法律第二百四号)に基づき、および同法を実施するため、一般高圧ガス保安規則を次のように制定する。


 第六章 高圧ガスの移動に係る保安上の措置等(第四十八条―第五十一条)

   第六章 高圧ガスの移動に係る保安上の措置等

(移動に係る保安上の措置及び技術上の基準)
第四十八条  法第二十三条第一項 の経済産業省令で定める保安上必要な措置及び同条第二項 の経済産業省令で定める技術上の基準は、次条及び第五十条に定めるところによる。

(車両に固定した容器による移動に係る技術上の基準等)
第四十九条  車両に固定した容器(高圧ガスを燃料として使用する車両に固定した燃料装置用容器を除く。)により高圧ガスを移動する場合における法第二十三条第一項 の経済産業省令で定める保安上必要な措置及び同条第二項 の経済産業省令で定める技術上の基準は、次の各号に掲げるものとする。
一  車両の見やすい箇所に警戒標を掲げること。
二  二以上の容器であって、一体として車両に緊結されたもの(以下この号において「集結容器」という。)にあっては、次に掲げる基準のイ、ハ及びニに適合し、二以上の容器を一のフレームに固定したもの(以下この号において「集合容器」という。)であって、一体として車両に固定されたものにあっては、次に掲げる基準のロ、ハ及びニに適合すること。
イ 容器相互及び集結容器と車両とを緊結するための措置を講ずること。
ロ 容器とフレーム及び集合容器と車両とを適切に固定するための措置を講ずること。
ハ 容器ごとに容器元弁を設けること。
ニ 充てん管には、安全弁、圧力計及び緊急脱圧弁を設けること。
三  一般複合容器等であって当該容器の刻印等により示された年月から十五年を経過したもの(容器保安規則第二条第十三号 に規定する圧縮水素自動車燃料装置用容器又は同条第十七号の二 に規定する圧縮水素運送自動車用容器にあっては、同規則第八条第一項第十号の充てん可能期限年月日を経過したもの)を高圧ガスの移動に使用しないこと。
四  充てん容器等は、その温度(ガスの温度を計測できる充てん容器等にあっては、ガスの温度)を常に四十度以下に保つこと。この場合において、液化ガスの充てん容器等にあっては、温度計又は温度を適切に検知することができる装置を設けること。
五  液化ガスの充てん容器等(国際輸送用タンクコンテナに係るもの及び継目なし容器を除く。)にあっては、容器の内部に液面揺動を防止するための防波板を設けること。
六  容器(当該容器の頂部に設けた附属品を含む。)の地盤面からの高さが車両の地盤面からの最大高より高い場合には、高さ検知棒を設けること。
七  ガスを送り出し、又は受け入れるために用いられるバルブ(以下「容器元弁」という。)をその後面に設けた容器(次号において「後部取出し式容器」という。)にあっては、容器元弁及び緊急遮断装置に係るバルブと車両の後バンパの後面との水平距離が四十センチメートル以上であること。
八  後部取出し式容器以外の容器にあっては、容器の後面と車両の後バンパの後面との水平距離が三十センチメートル以上となるように当該容器が車両に固定されていること。
九  容器元弁、緊急遮断装置に係るバルブその他の主要な附属品が突出した容器にあっては、これらの附属品を車両の右側面以外に設けた堅固な操作箱の中に収納すること。この場合において、操作箱と車両の後バンパの後面との水平距離は、二十センチメートル以上であること。
十  前三号に掲げるところによるほか、附属品が突出した容器にあっては、これらの附属品の損傷により当該ガスが漏えいすることを防止するために必要な措置を講ずること。
十一  液化ガスのうち、可燃性ガス、毒性ガス又は酸素の充てん容器等には、ガラス等損傷しやすい材料を用いた液面計を使用しないこと。
十二  容器に設けたバルブ又はコックには、開閉方向及び開閉状態を外部から容易に識別するための措置を講ずること。
十三  移動を開始するとき及び移動を終了したときは、当該ガスの漏えい等の異常の有無を点検し、異常のあるときは、補修その他の危険を防止するための措置を講ずること。
十四  可燃性ガス又は酸素を移動するときは、消火設備並びに災害発生防止のための応急措置に必要な資材及び工具等を携行すること。
十五  毒性ガスを移動するときは、当該毒性ガスの種類に応じた防毒マスク、手袋その他の保護具並びに災害発生防止のための応急措置に必要な資材、薬剤及び工具等を携行すること。
十六  駐車(道路交通法 (昭和三十五年法律第百五号)第二条第一項第十八号 に規定する駐車をいう。以下同じ。)するときは、充てん容器等に高圧ガスを受け入れ、又は当該充てん容器等から高圧ガスを送り出すときを除き、第一種保安物件の近辺及び第二種保安物件が密集する地域を避け、かつ、交通量が少ない安全な場所を選ぶこと。また、駐車中移動監視者(次号の規定により高圧ガスの移動について監視する者をいう。以下同じ。)又は運転者は、食事その他やむを得ない場合を除き、当該車両を離れないこと。
十七  次に掲げる高圧ガスを移動するときは、甲種化学責任者免状、乙種化学責任者免状、丙種化学責任者免状、甲種機械責任者免状若しくは乙種機械責任者免状の交付を受けている者又は協会が行う高圧ガスの移動についての講習を受け、当該講習の検定に合格した者に当該高圧ガスの移動について監視させること。
イ 圧縮ガスのうち次に掲げるもの(ハに掲げるものを除く。)
(イ) 容積三百立方メートル以上の可燃性ガス及び酸素
(ロ) 容積百立方メートル以上の毒性ガス
ロ 液化ガスのうち次に掲げるもの(ハに掲げるものを除く。)
(イ) 質量三千キログラム以上の可燃性ガス及び酸素
(ロ) 質量千キログラム以上の毒性ガス
ハ 特殊高圧ガス
十八  前号の移動監視者は、高圧ガスの移動を監視するときは、常に前号の免状又は講習を修了した旨を証する書面を携帯しなければならない。
十九  第十七号に掲げる高圧ガスを移動するときは、あらかじめ、当該高圧ガスの移動中充てん容器等が危険な状態となつた場合又は当該充てん容器等に係る事故が発生した場合における次に掲げる措置を講じてすること。
イ 荷送人へ確実に連絡するための措置
ロ 事故等が発生した際に共同して対応するための組織又は荷送人若しくは移動経路の近辺に所在する第一種製造者、販売業者その他高圧ガスを取り扱う者から応援を受けるための措置
ハ その他災害の発生又は拡大の防止のために必要な措置
二十  第十七号に掲げる高圧ガスを移動する者は、次に掲げる措置を講じてすること。
イ 移動するときは、繁華街又は人ごみを避けること。ただし、著しく回り道となる場合その他やむを得ない場合には、この限りでない。
ロ 運搬の経路、交通事情、自然条件その他の条件から判断して次の各号のいずれかに該当して移動する場合は、交替して運転させるため、容器を固定した車両一台について運転者二人を充てること。

(イ) 一の運転者による連続運転時間(一回が連続十分以上で、かつ、合計が三十分以上の運転の中断をすることなく連続して運転する時間をいう。)が、四時間を超える場合

(ロ) 一の運転者による運転時間が、一日当たり九時間を超える場合
二十一  可燃性ガス、毒性ガス又は酸素の高圧ガスを移動するときは、当該高圧ガスの名称、性状及び移動中の災害防止のために必要な注意事項を記載した書面を運転者に交付し、移動中携帯させ、これを遵守させること。
2  高圧ガスを燃料として使用する車両に固定した燃料装置用容器により高圧ガスを移動する場合は、前項第三号の基準に適合すること。

(その他の場合における移動に係る技術上の基準等)
第五十条  前条に規定する場合以外の場合における法第二十三条第一項 の経済産業省令で定める保安上必要な措置及び同条第二項 の経済産業省令で定める技術上の基準は、次に掲げるものとする。
一  充てん容器等を車両に積載して移動するとき(容器の内容積が二十リットル以下である充てん容器等(毒性ガスに係るものを除く。)のみを積載した車両であって、当該積載容器の内容積の合計が四十リットル以下である場合を除く。)は、当該車両の見やすい箇所に警戒標を掲げること。ただし、次に掲げるもののみを積載した車両にあっては、この限りでない。
イ 消防自動車、救急自動車、レスキュー車、警備車その他の緊急事態が発生した場合に使用する車両において、緊急時に使用するための充てん容器等
ロ 冷凍車、活魚運搬車等において移動中に消費を行うための充てん容器等
ハ タイヤの加圧のために当該車両の装備品として積載する充てん容器等(フルオロカーボン、炭酸ガスその他の不活性ガスを充てんしたものに限る。)
ニ 当該車両の装備品として積載する消火器
二  充てん容器等は、その温度(ガスの温度を計測できる充てん容器等にあっては、ガスの温度)を常に四十度以下に保つこと。
三  一般複合容器等であって当該容器の刻印等により示された年月から十五年を経過したもの(容器保安規則第二条第十三号 に規定する圧縮水素自動車燃料装置用容器又は同条第十七号の二 に規定する圧縮水素運送自動車用容器にあっては、同規則第八条第一項第十号の充てん可能期限年月日を経過したもの)を高圧ガスの移動に使用しないこと。
四  充てん容器等(内容積が五リットル以下のものを除く。)には、転落、転倒等による衝撃及びバルブの損傷を防止する措置を講じ、かつ、粗暴な取扱いをしないこと。
五  次に掲げるものは、同一の車両に積載して移動しないこと。
イ 充てん容器等と消防法 (昭和二十三年法律第百八十六号)第二条第七項 に規定する危険物(圧縮天然ガス又は不活性ガスの充てん容器等(内容積百二十リットル未満のものに限る。)と同法 別表に掲げる第四類の危険物との場合及びアセチレン又は酸素の充てん容器等(内容積が百二十リットル未満のものに限る。)と別表に掲げる第四類の第三石油類又は第四石油類の危険物との場合を除く。)
ロ 塩素の充てん容器等とアセチレン、アンモニア又は水素の充てん容器等
六  可燃性ガスの充てん容器等と酸素の充てん容器等とを同一の車両に積載して移動するときは、これらの充てん容器等のバルブが相互に向き合わないようにすること。
七  毒性ガスの充てん容器等には、木枠又はパッキンを施すこと。
八  可燃性ガス又は酸素の充てん容器等を車両に積載して移動するときは、消火設備並びに災害発生防止のための応急措置に必要な資材及び工具等を携行すること。ただし、容器の内容積が二十リットル以下である充てん容器等のみを積載した車両であって、当該積載容器の内容積の合計が四十リットル以下である場合にあっては、この限りでない。
九  毒性ガスの充てん容器等を車両に積載して移動するときは、当該毒性ガスの種類に応じた防毒マスク、手袋その他の保護具並びに災害発生防止のための応急措置に必要な資材、薬剤及び工具等を携行すること。
十  アルシン又はセレン化水素を移動する車両には、当該ガスが漏えいしたときの除害の措置を講ずること。
十一  充てん容器等を車両に積載して移動する場合において、駐車するときは、当該充てん容器等の積み卸しを行うときを除き、第一種保安物件の近辺及び第二種保安物件が密集する地域を避けるとともに、交通量が少ない安全な場所を選び、かつ、移動監視者又は運転者は食事その他やむを得ない場合を除き、当該車両を離れないこと。ただし、容器の内容積が二十リットル以下である充てん容器等(毒性ガスに係るものを除く。)のみを積載した車両であって、当該積載容器の内容積の合計が四十リットル以下である場合にあっては、この限りでない。
十二  前条第一項第十七号に掲げる高圧ガスを移動するとき(当該ガスの充てん容器等を車両に積載して移動するときに限る。)は、同項第十七号から第二十号までの基準を準用する。この場合において、同項第二十号ロ中「容器を固定した車両」とあるのは「当該ガスの充てん容器等を積載した車両」と読み替えるものとする。
十三  前条第一項第二十一号に規定する高圧ガスを移動するとき(当該容器を車両に積載して移動するときに限る。)は、同号の基準を準用する。ただし、容器の内容積が二十リットル以下である充てん容器等(毒性ガスに係るものを除き、高圧ガス移動時の注意事項を示したラベルが貼付されているものに限る。)のみを積載した車両であって、当該積載容器の内容積の合計が四十リットル以下である場合にあっては、この限りでない。

(導管による移動に係る技術上の基準)
第五十一条  法第二十三条第三項 の経済産業省令で定める技術上の基準は、第六条第一項第四十三号に規定する基準とする。