高圧ガス保安関連情報

高圧ガス インターネット

 溶接または熱切断用アセチレン・液化石油ガス、酸素 用

 取扱い上の注意事項


 この書面は、高圧ガス保安法第20 条の5 第1項(周知させる義務等)に基づいて高圧ガスの消費者に対し販売契約を締結したとき及び周知後1年に1回、使用時の注意事項をお知らせする文書の備忘録です。販売店から全溶連発行の周知文書を供給されたけれども、手元に見当たらなくなったなどで困られたときにご利用ください。
保安法では、高圧ガスによる災害の発生の防止に関し必要な事項を、溶接または熱切断用アセチレン・液化石油ガス、酸素を消費する事業所において「周知させること」を義務としており、そのため販売店は書面によってこれを配布しております。
高圧ガスをご使用のときは、法規(高圧ガス保安法一般高圧ガス保安規則液化石油ガス保安規則容器保安規則)ならびに関係法令(労働安全衛生法消防法国民保護法他)を遵守され、高圧ガスによる災害防止に努められるようお願い申し上げます。

 

法令遵守


●高圧ガスを運ぶ車両は前後に警戒標が必要です。

●酸素・可燃性/ 毒ガス等は消火器と防災工具とイエローカードが必要です。

○高圧ガス保安法は、高圧ガスによる災害を防止するため、高圧ガスの製造、貯蔵、販売、移動その他の取扱及び消費並びに容器の製造及び取扱を規制するとともに、民間事業者及び高圧ガス保安協会による高圧ガスの保安に関する自主的な活動を促進し、もつて公共の安全を確保することを目的としています

◇高圧ガス容器※について
すべての高圧ガス容器は永久に高圧のままガスを閉じ込めておけるものではありません。ガスの性状、容器のつくりや販売店のサポート体制などから消費事業所での容器滞留期間を販売店とあらかじめ文書で取り決め、容器内のガスの残量にかかわらず、決められた期間以上滞留しないよう心がけてください。

※本書面では断りのない限り高圧ガス容器のことを単に「容器」と呼びます

INDEX
1 使用する消費設備のその販売する高圧ガスに対する適応性に関する基本的な事項について

2 消費設備の操作、管理及び点検に関し注意すべき基本的な事項について

3 消費設備を使用する場所の環境に関する基本的な事項について

4 消費設備の変更に関し注意すべき基本的な事項について

5 ガス漏れを感知した場合その他高圧ガスによる災害が発生し、又は発生するおそれがある場合に消費者がとるべき緊急の措置及び販売業者等に対する連絡に関する基本的な事項について

6 前各号に掲げるもののほか、高圧ガスによる災害の発生の防止に関し必要な事項について

参考資料:一般社団法人 全国高圧ガス溶材組合連合会

1 使用する消費設備のその販売する高圧ガスに対する適応性に関する基本的な事項について


 ■注意

溶断器は使用方法によって逆火が起こりやすくなります。火災やアセチレン容器の爆発を防ぐため、逆火を防止する措置を講じなければなりません

消費設備は、高圧ガスを使用することにより、大気圧下にあるときよりもその設備(ホース、調整器、バルブ、容器など)全般を急速に劣化させます。

 ■容器について

●高圧ガスの受入立会と迅速返却

容器の保管、授受管理を徹底し、使用済み容器は迅速に返却されるようご協力お願いいたします。

容器の長期保管は、災害発生のおそれが大きいので、計画変更等で高圧ガスの使用を中断されるようなときは、速やかに容器を納入業者にご返却ください。

国民保護法では「引火若しくは爆発又は空気中への飛散若しくは周辺地域への流出により人の生命、身体又は財産に対する危険が生ずるおそれがある物質」として「高圧ガス」が指定されています。高圧ガスによる武力攻撃や災害を防止するため盗難防止の警戒など必要な措置を講じなければなりません。

容器は、紛失・盗難などで知識がない人や悪意のある人の手に渡ると非常に危険です。管理責任者を選任し、受け入れ・払い出しの立会い確認を行って、占有責任のある容器の所在管理を行ってください。

●容器の取り扱い

充てん容器等は転落、転倒等による衝撃又はバルブの損傷を受けないように粗暴な取扱いをしてはいけません。

酸素の容器やバルブは油のついた工具や手袋で取り扱うことは禁止です。

充てん容器等には、湿気、水滴等による腐食を防止する措置を講じなければなりません。

また容器をアークスタート等、本来の目的(高圧ガスの保持)以外に使用しないでください。

 ■その他の設備について

●適正な器具の使用

ガスを使用する前には、必ずガスの性質に合った適切な器具が使用されているか確認して下さい。

乾式安全器や調整器などの高圧ガス設備、メーカーの取扱説明書をよく読んで、正しく使用しましょう。

ホースは、酸素が青色、アセチレンは赤色、シールドガス(アルゴンガス、炭酸ガス、窒素など)は緑色、LPガスはオレンジ色で識別しています。色の間違いがないことを確認してください。

調整器はガス別にそれぞれ専用のものを使用し、他のガスの調整器を流用してはいけません。

調整器・吹管は新JIS 規格に対応した、より安全な(社)日本溶接協会認定品のマーク入りの製品をおすすめします。

酸素の圧力計は必ず「禁油」のものを使用します。

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2 消費設備の操作、管理及び点検に関し注意すべき基本的な事項について


 ■操作上の注意事項

可燃性ガス及び酸素を使って作業するときは、高圧ガス保安法の規定を遵守するのはもちろん、労働安全衛生法に基づく「ガス溶接作業主任者免許を受けた者」または「ガス溶接技能講習修了者」が作業を行わなければなりません。

●バルブ操作

充てん容器等のバルブは静かに開閉します。

作業を中止するときはバルブを閉じ、調整ハンドルをゆるめておいてください。

使用後は必ず容器バルブを完全に閉めます。

バルブのねじが変形していて、調整器が取り付けにくいときは無理に取り付けず販売店にご相談ください。

消費後は異ガス(空気も含め)混入を防ぐため、残圧のある状態でバルブを完全に閉めて返却してください。

転落、転倒等による衝撃又はバルブの損傷を受けないよう、粗暴な取り扱いをしてはいけません。

●点火・消火

点火は、先に可燃性ガスのみを出して点火し、次に酸素を出します。

消火は先に酸素を止め、次に可燃性ガスを止めます。

 ■管理点検

●毎日点検

使用の開始時及び終了時とそれ以外に一日1回以上は、調整器、ホース、吹管等の点検を行い、異常を認めたときは直ちに修理または交換しなければなりません。

ガス漏れの検査には石鹸水を利用し、検査のため設備に火気を用いるのは厳禁です。

毎日使用しない容器も作業の開始前と終了後にその所在を確認し、万一容器の盗難、紛失の場合は直ちに都道府県担当部署又は警察署及び納入業者に必ずご連絡ください。

定期的に販売店から発行される、容器の滞留状況の情報をもとに、事業所内で確保している容器の所在と安全を確認してください。

●ホース

ホースの連結部は、必ずホースバンドを用いて固定し、使用する前に石けん水等で、調整器の接続部、ホースの連結部から漏えいのないことを確認します。

●逆火防止器(安全器)

可燃性ガス等を使用するときは、逆火防止装置(乾式安全器または水封式安全器)を取り付けなければなりません。

●定期チェック

容器を含む設備のチェックは、法の定期自主検査に準じて1年に一回以上行い、期限切れや老朽化により使用に問題がある場合は交換してください。

ホースは必ず定期的に点検してください。硬化したり、磨耗したり、亀裂が生じていたりする場合はガス漏れを起こす危険性がありますので新品と交換してください。

圧力調整器は、七年で交換することが推奨されています。期限内に交換を行ってください。

乾式安全器は購入後、年一回は定期自主検査を実施して下さい。また、三年毎にメーカーの再検査を受けて下さい。

検査に出ている間も乾式安全器なしでの消費はしてはいけません。点検の間代用できる予備品をご準備ください。

管理委託契約をした消費者の所有容器の定期チェックは受託したものが行えるよう、管理委託契約で、あらかじめ取り決めておいてください。貸与容器のチェックは所有者に依頼してください。

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3 消費設備を使用する場所の環境に関する基本的な事項について


 ■使用環境

狭い密室内でのガス(酸素・アセチレン)の使用は避けてください。また換気を充分行ってください。

溶断作業を、車両に容器を積載した状態のまま行ってはいけません。

高圧ガスの容器は40 度以下に保ち、湿気水滴などを避け、腐食を防止して使用します。

アセチレン容器は帯電を防止し、立てた状態で使用しなければなりません。

●火気・可燃物に対する注意

ガスの使用場所には、近くに必ず消火器(B-10 以上)及び充分な量の防火用水を備えなければなりません。

作業場所から5メートル以内では、喫煙と火気の使用を禁止、引火性、特に油脂類の物を置いてはいけません。

火花の飛来する場所には容器・ホース等を置いてはいけません。(飛来する恐れのある箇所には、可燃物を置かず、やむをえない場合は不燃性の布/スバッターシートなどで火花を確実に蔽って作業します。)

酸素の容器やガスの通り道にオイル、グリース等の油脂類を付着させてはいけません。

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4 消費設備の変更に関し注意すべき基本的な事項について


 ■設備の修理・工事・交換

●消費設備の修理や工事

修理等をするときは、あらかじめ、修理等の作業計画及び当該作業の責任者を定め、修理等は当該作業計画に従い、かつ、当該責任者の監視の下に行うこと又は異常があつたときに直ちにその旨を当該責任者に通報するための措置を講じて行わなければなりません。

消費設備の工事や修理をするときは、設備内部のガスを水または窒素で置換してから行います。

 ■設備(容器)の移動

●容器の移動

容器に調整器をつけたままで移動させないでください。

容器を車両に積載して移動するときは、転倒転落防止やバルブの保護等の措置を確実に行わなければなりません。

車両の前方及び後方からの見やすい箇所に警戒票(高圧ガスステッカー)を掲げます。

ワゴン車や乗用車などは高圧ガスの輸送に適していないので、これらによる高圧ガスの輸送は避けましょう。

どうしてもやむを得ずワゴン車等で移動するときは、ガスが漏れても車内に滞留することがないように窓を開けて使用する等、換気措置を充分に講じて下さい。

ワゴン車にかかわらず、駐め置いた車両に長時間(2時間以上)積載しておくことは、高圧ガス保安法の貯蔵規定違反となるため厳禁です。

 積載しているガスの名称、性状、及び災害防止のために必要な注意事項を記載したイエローカードに緊急時の連絡先を記入し、消火器および防災工具などとともに必ず携行しなければなりません。

防災工具箱(or袋)に備えるもの

●赤旗  
●赤色合図灯又は懐中電灯 
●車輪止め(2個以上) 
●メガホン  
●革手袋 
●ロープ(15m以上のもの2本以上) 
●漏えい検知剤(石けん水) 
●容器バルブ開閉ハンドル 
●容器バルブグランドスパナ  又はモンキースパナ 

 ■廃棄

高圧ガスは容器ごと廃棄してはならないと定められており、保安法に定められた手順で行わなければなりません。

●容器の廃棄

容器は一般的には販売店やメーカーの所有物ですので、勝手に廃棄せず購入元へ返却してください。

残圧の有無にかかわらず、不要となった容器をごみとして出さないでください。

もし容器を所有されている場合でも、廃棄処理は非常に危険ですので、必ず販売店等にご依頼いただけるよう、購入時に管理委託契約等で、あらかじめ取り決めておいてください。

積載しているガスの名称、性状、及び災害防止のために必要な注意事項を記載したイエローカードに緊急時の連絡先を記入し、

消火器および防災工具などとともに必ず携行しなければなりません。

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5 ガス漏れを感知した場合その他高圧ガスによる災害が発生し、又は発生するおそれがある場合に消費者がとるべき緊急の措置及び販売業者等に対する連絡に関する基本的な事項について


 ■ガス漏れ・緊急時の措置

●ガス漏れの措置

バルブを開いたとき、スピンドルの周囲からガスが漏れた場合は、直ちにバルブを閉じて、その容器を火気のない場所に移し、「バルブ不良」を表示して急いで販売店に通報してください。

作業中にガス漏れを感知した時は、直ちに作業を中止し、吹管及び容器のバルブを閉め、漏えい個所を修理して下さい。

使用再開は、修理個所からガス漏れのないことを確認してから使用しなければなりません。

 ■消火

●可燃性ガスによる火災が発生したときの処置

まずガスを止め、消火するとともに、大量の注水で容器を冷却して下さい。

器具やホースからの火災は、容器バルブを閉めると鎮火します。

なお、一旦鎮火しても再着火することがありますから、鎮火した容器でも引き続き充分に、冷却注水してください。

 ■準備

●緊急時対策

緊急時の対応については、事前に納入業者と充分協議しておいてください。

社内では、地震等災害等の緊急時に備えるため、「緊急時の処置体制」を明確にし、適切な処置、対応、連絡ができるように常時指導して下さい。

緊急時の連絡担当者など役割を決めておき、周知徹底し、その他必要な措置に係る体制を定めておかなければなりません。

また定期的に訓練を行って緊急時に備えてください。

 ■事故届け

● 販売業者への連絡

出火等の災害はもちろん、容器の安全弁の破裂や、容器の紛失・盗難も都道府県などへの事故届けが必要です。

どんな規模でも事故がおきたら、まず販売店に連絡をしてご相談ください。

事故の内容によって、事故の状況を保存しなければなりません。

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6 前各号に掲げるもののほか、高圧ガスによる災害の発生の防止に関し必要な事項について


保安法に示されている規制は守らなければならない最低限のきまりです。

自主的な保安で適切に消費現場の安全を確保するため、社外で販売業界団体などが開催する保安教育の機会には必ず参加し、または保安の情報収集に努め、販売店などから提供された情報のうち重要な項目は掲示、および内容の閲覧ができるようにしてください。

指導を受けた場合は改善し、報告を行ってください。

法の定める販売店の保安台帳更新にご協力ください。


 ■保管

●容器の保管

容器は立てて貯蔵してください。

また常に40℃以下に保ち、通風の良い場所に置き、直射日光を避けます。

可燃性ガス容器と酸素容器、また充瓶と空瓶は間隔をあけ、区分して置かなければなりません。

保管場所、貯蔵場所には消火器を備え付け、火気厳禁の表示をしてください。

容器置場の周囲2メートル以内には、火気または発火性、引火性の物を置いてはなりません。

 ■製造

高圧ガスの製造をするには都道府県知事への届出または許可が必要です。

違反した場合は、最高100万円の罰金と一年の懲役の併科に科せられます。

法に定められた製造に係る技術上の基準を満たさず製造行為となる作業を行うことはきわめて危険です。

製造となる行為には高圧のガスの製造以外にも、容器の移充てんなども含まれますので、絶対に違反しないようご注意ください。

 ■容器の所有

すべての容器には所有者表示(刻印)を行わなければ、所有することはできません。

違反した場合は、最高50 万円の罰金と六ヶ月の懲役の併科に科せられます。

詳しいことは販売店にお問い合わせください。


●ガス名(容器の塗色)と性質

名  称 塗 色 性         質
酸 素 黒 色  支燃性のガスで、空気中で燃焼しないものでも高濃度酸素中では燃焼することが多く、特に濃度が高いときは爆発的な燃焼を起こします。酸素の消費の際は、容器や器具類(バルブ、調整器等)に油脂など可燃物が付着していると発火するおそれがあります。
アセチレン 褐 色  極めて不安定なガスであり、火花、加熱、衝撃等で爆発する恐れがあります。不純物が含まれていて臭気があり、吸い込むと中毒することがあります。
プロパン
ブタン
プロピレン
ねずみ色  いずれもLPガスの成分で無色無臭のガスで、容器等に「工業用無臭」の表示のあるもの以外は着臭されています。空気より重く低い所に滞留しやすく、多量に呼吸した場合、窒息の危険や軽い麻酔性があります。

 ■ガスの性質

溶接、切断に使用するガスの保安上注意すべき性質をよく知っておいてください。

高い濃度の酸素は燃えやすいものでなくとも可燃性のものを発火させ、爆発的に燃焼させる性質があります。

酸素以外の、全ての可燃性ガスは極めて引火しやすく、空気(酸素)と混合して爆発性の混合ガスを作ります。

これらの高圧ガスの取り扱い及びガス漏れには十分注意しましょう。

※消費とは高圧ガスを廃棄以外の一定の目的のために高圧ガスでない状態へ減圧することと、生じた高圧ガスではないガスを使用することをいいます。

※法律で高圧ガス設備とは、特に断りのない限り容器も含みます

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